個人事業主の確定申告は「青色」でないとダメな理由
こんにちは行政書士で創業支援アドバイザーのセイケです。
さてこのブログを読んでおられる皆さんはまだ事業を始めたばかりの方や、これから事業を始めようと考えている方だと思いますが、皆さんはいま確定申告は「何色」で申告されていますでしょうか?
確定申告を白色で申告している方は意外と多いと思います。しかし、白色で申告しても何のメリットも得られないことから、確定申告はかならず「青色」でやりましょうということをお話ししたいと思います。
でも青色申告って税理士さんがやるものって思っていませんか?そんなことはありません。個人事業主の方で税理士さんに頼んでいない方でもちゃんと青色で申告している方はたくさんいます。ではなんで確定申告は青色でないとダメだといえるのでしょうか?
確定申告の「青色申告」と「白色申告」の違いとは?
その前にまず所得税における確定申告とは、個人事業主が、ある年の事業年度(1月1日から12月31日まで)の間に得た所得にかかる計算をして、国に納付する所得税を申告する手続きのことをいいます。
このとき、申告のタイプが2種類あって、それが「青色申告」と「白色申告」であり、「青色」の場合は、指定の期限内に、申告書とともに財務諸表(損益計算書・貸借対照表)を作成して申告することをいい、一方、白色は逆にそういった書類を用意しないで申告することをいいます。
これらは個人事業主であれば、どちらで申告するかを選べますので、白色の場合は、申告書以外はとくに書類を必要とせずに簡単に申告が済ませられるうえ、青色の場合、簿記の知識がないと簡単に書類が作れないため、無意識に白色を選んでいる方も多いかもしれません。
でもはっきりいいます。確定申告は個人であってもかならず「青色」申告でやるようにしてください。なぜなら白色でやることについてはこれから事業を進めていくうえで「何のメリットもない」からです。
ではその理由について詳しく説明してまいりたいと思います。
白色申告では特別控除がないので節税ができない
まず青色申告で確定申告した人の場合は「青色申告特別控除」というものを受けることができます。
つまり、青色の方は、売上から経費を差し引いて算出した課税所得に対して「基礎控除の48万円」さらに「特別控除分の55万円」が控除されますので、合計103万円を所得から差し引くことで、課税額を少なくすることができ、その結果「節税になる」という仕組みです。(注:令和2年度の所得税確定申告から上記の額に変更されます。)
参照:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/h32_kojogaku_change.pdf
しかし白色の場合だと、こういった特別控除はいっさいないため、算出した所得額に基礎控除分の48万円しか控除されないので、あまり節税ができません。
さらに所得税に限らず、住民税や国民健康保険料についても、この確定申告で申告した所得金額を元にして算出されるため、所得金額を減らすことができれば、これらについても同様に少なくさせることができます。
でも特別控除って言ったってたった55万円でしょ?そんなのしたって意味ないよと思われたかもしれません。でも考えてみてください。この状況がこれから毎年ずっと続くと考えたらどうでしょうか?
「白色である」という理由だけで本来ならば「払わなくてもいい税金」を毎年支払っていることになります。それが3年、5年、10年と続いたとき、青色申告者と白色申告者の節税分の差がさらに大きくなってしまいます。
ではこの考え方がなぜ大事だといえるのでしょうか?
節税の仕方を知らないとお金はなかなか貯まらない
実は事業を行う上でもっとも多い出費が「税金」です。なぜなら税金はいろんな種類があって、しかも事業を続けていれば毎年かならずかかってくるからです。
そして個人事業主が納付する場合の「所得税」というのは一番額が大きく、また法人の場合の「法人税」とはちがって「累進課税」というものを採用しています。
これは簡単に言ってしまうと、所得が大きくなるにつれて、段階的に高い税率をかけられてしまう制度のことで、所得が4000万円以上のときは、最大税率45%が掛けられてしまうのです。つまりいくら頑張って4000万円稼いだところで、その半分近くは所得税として税金として取られてしまうのです。
そうならないためには節税の仕方を知っておく必要があるのです。何も対策をせずに放っておくと、これから事業が拡大して、売上が多くなったとしても累進課税のおかげで、所得が多ければ多いほど「高い税率」が課せられてしまって、その結果なかなか自分のところにお金は貯まらないということになってしまいます。
だから白色の方は、面倒だからとかあまり意味ないとか言わずに青色申告にして節税するようにしてほしいのです。もしまだ開業届や青色申告承認申請書を提出していなければかならず提出するようにしましょう。
ほかにも青色申告にすると「青色事業専従者給与」を経費として申請したり、青色申告者が年間で損失(赤字)を出した場合、翌年から3年間は、その損失を繰越申請することができるなどのメリットがあります。
これらのメリットがあるだけでも白色であることがどれだけ損をしているかというのがわかるかと思います。
青色申告の始め方について
ここまで見てきて今も白色申告をされている方は、いかに「白色申告がムダである」のかがお分かりいただけたかと思います。でもやっぱり青色申告はハードルが高すぎて無理だよ・・・という声もあるかもしれません。
しかし本当に青色申告はまったくむずかしいことではありませんし、少しだけ努力すれば毎年103万円+αの控除ができて結果節税できるのですから、やらない手はありませんよね。
青色申告の始め方としては、まず開業前であれば、「青色申告承認申請書」を開業届と同時に提出します。(原則として開業日から2か月以内に提出する必要があります。)
開業後であれば、今まで白色申告でやっていたものの「今年の所得税から青色申告に変更したい」と思った場合は、その年の3月15日までに青色申告承認申請書を税務署に提出することで、その年の所得分から青色申告ができるようになります。
具体的にやるべきことは、次のとおりです。
1、「青色申告承認申請書」を国税庁のHPからダウンロード
してプリントアウトして記入し、管轄の税務署に提出する。
2、簿記や会計の初心者向けの本(マンガでも可)を買ってきて読む
3、会計ソフト(弥生会計など)を買ってパソコンにインストールする
4、マニュアルを読みながら日々の取引をソフトに入力する
これだけです。簡単でしょ?いくら仕事が忙しくてもこのくらいであれば手すきの時間でできますよね。
ここまで自分でできるようになれば、あとは会計ソフトの方が勝手に申告書類の作成までやってくれます。またソフトから電子申告もできますので、事前に準備は必要ですが、これをすることでさらに控除額が「113万円」(※令和2年度の所得税確定申告より適用)まで引き上げることができます。
もし本気で青色申告をやろうと思うのであれば、お近くの税務署でも定期的に講習会が行われていますし、「青色申告会」といって個人事業主が集まって青色申告を広めようと活動している団体などもありますので、気になる方は調べてみてはいかがでしょうか?
これで毎年確定申告の時期になって慌てて申告の準備をすることがなくなるうえに、さらに55万円の特別控除も得られますので、やらない手はありませんよね。
まとめ
ということでいかがでしたか?毎年の税金というのは事業者にとって大きくのしかかってきます。そこでこれから事業を長続きさせたいと思うのであれば節税対策をうまくやって、できるだけ多く自分の手元にお金を残すようにすることはとても大事かと思います。
今までそういったことが面倒くさいからといって敬遠してきた方は、ぜひ頑張って青色申告にチャレンジしてほしいと思います!