【今さら聞けない確定申告シリーズ】「使える控除」と「使えない控除」で経費を賢く使おう
こんにちはセイケです、今日もご覧いただきありがとうございます^^
ここのところずっとお送りしています「今さら聞けない確定申告シリーズ」ですが、今日は番外編をお送りしていきたいと思います。以前の記事で「控除」は確定申告の際には申告しないといけないといったことをお話ししましたが、今回はこの控除についてさらに深堀りしていきたいと思います。
確定申告の際、控除をしっかり申告することで節税効果が得られるということは間違いないのですが、この控除の中でも「使える控除」と「使えない控除」があるというのはご存じでしょうか?
この言い方だと理解しずらいと思いますので「積極的に使うべき控除」と「そこまで積極的に使わなくてもいい控除」とでもいえばいいのでしょうか、要するに、控除として申告する際の経費としては「割に合うもの」と「割に合わないもの」があるということが言いたいわけです。つまり経費のコスパの問題ですね^^
もちろんその経費分は控除として申告できますが、それ以前に「その経費がコスパに見合ったものなのか」どうかは検証しておく必要があります。それをすることによって今の経費がいいのかどうか見直しできると思いますので、ぜひ最後までお付き合いください^^
確定申告で使える「控除」の種類について
以前の「控除」に関する記事でもお伝えしましたが、ここでもう一度確定申告の控除の種類をおさらいしてみたいと思います。
確定申告における控除とは、明確な事業経費というわけではないが、その人が生活を行ううえで必要となる一定の費用(養育費、保険料、医療費など)については「控除」という形で認めてあげて、それを申告することで結果節税ができるというものでしたよね。
で、その控除のうち「人」と「生活」というカテゴリーで大きく区分けされるということもお伝えしましたが、それは次のようになっています。
・人に関する控除・・・配偶者特別控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除
・生活に関する控除・・・社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、医療費控除、雑損控除、寄付金控除
このほかにも「青色申告特別控除」など該当する人のみが使える控除もあったりするといったこともお伝えしましたが、今回はこの控除の中身を掘り下げてみます。
まず「人に関する控除」については自分に該当するものがあれば、その控除が受けられるというものですから、申告さえすれば控除を受けられます。
一方で「生活に関する控除」については、その使い方については注意を払わないといけません。どういうことかというと、生活に関する控除は「積極的に使うべき控除」と「そこまで積極的に使わなくてもいい控除」の2つがあるからです。
積極的に使うべき控除とは「出費に対して割に合う(コスパがいい)」ので、積極的に利用したい控除(出費)であるのに対して、そこまで使わなくてもいい控除というのは「出費に対して割に合わない(コスパが悪い)」ので、あまり積極的になって使わなくてもいいタイプの控除(出費)だといえます。
もちろんこれに関しては考え方も人それぞれなので、そうだと思うという方もいれば、そうは思わないという方もおられます。ここではあくまで、
「できるだけお金を手元に残したい!」
という基準で見ていますので、その辺は誤解のなきようにお願いします。ではその「積極的に使うべき控除」と「そこまで使わなくてもいい控除」の線引きはどこですればいいのでしょうか?
使うべき控除と使わなくてもいい控除の違いとは?
まず「積極的に使うべき控除」と「そこまで使わなくてもいい控除」というのは、経費として使う出費のコスパの程度によって区別されます。
つまり、コスパのいい出費に対しては控除として積極的に利用すべきであるといえますが、一方、コスパの良くない出費に関しては、その出費は正直必要ないので、控除として利用する必要もないというのがわたしの結論です。
ではそのコスパのいい出費とはどういったものをいうのでしょうか?それは出費に見合ったリターンを得られるかどうかという点でみていく必要があります。
上記のものでいうと「小規模企業共済等掛金控除」「寄付金控除」あたりが該当すると思います。寄付金控除については以前お伝えした「ふるさと納税」の記事で紹介していますので、そちらを参考にしてもらいたいのですが、小規模企業共済等掛金控除とはいったいどういったものなのでしょうか?
積極的に使うべき控除「小規模企業共済等掛金控除」とは?
(出典:小規模企業共済ホームページ)
小規模企業共済とは、聞いたことがある方も多いかと思いますが、個人事業主や中小企業の社長さんなど、将来退職金をもらえない方が、退職時に退職金代わりにお金を受け取れるように積み立てておく制度のことをいいます。
この小規模企業共済制度の詳細については「小規模企業共済」のホームページを見てもらうとして、ここで大事ことは、
「小規模企業共済の掛金は、全額控除の対象になるし、将来の退職金にもなるコスパ最強の制度である!」
ということです。
つまり、小規模企業共済に毎月掛金を積み立てておくと「毎年の掛金を全額控除として申告できるので節税になる」だけでなく、将来には「積み立てた掛金は退職金代わりとなって将来返ってくる(しかも運用益つき!)」のですから、ダブルでお得な制度だと言えますね!^^
ほかにも、売り上げが多かった年は、掛金を全額前払いしておいて経費化し、その分の所得を減らすといった柔軟性に富んだやり方だってできます。
さらに、急にお金が必要になったときでも、掛金の範囲内でお金を低金利で借り入れるといったこともできますので、個人事業主や中小企業の社長さんであれば、この制度を積極的に利用して「将来に備えての蓄財」と「節税」の両面でお金を増やしていってほしいと思います。
では一方で「そこまで積極的に使わなくてもいい控除」とはいったいどういったものでしょうか?
「生命保険料控除」「地震保険料控除」は「コスパの悪い」出費だといえる理由
ズバリ「そこまで積極的に使わなくてもいい控除」というのは、「生命保険料控除」と「地震保険料控除」の2つです。
もちろんいざという場合の保険として、この2つが大事なのはよくわかりますが、ここで言いたいことは、
「保険料額に見合うだけのリターンが得られるかどうか」
という基準で見ていく必要がある、ということです。
まず、生命保険料は当然のことですが、経営者であるあなたが万一亡くなった際には、残された家族を金銭面で支えるためにはとても必要なものだと言えます。
しかし世の中には「コスパの悪い生命保険」というのがたくさんあります。要するに保険料が高いわりに思ったほどのリターンがないといったたぐいのものです。
たとえば、生命保険の中でも「貯蓄型保険」というものがあります。これは保険の機能を持ちながらその保険金を運用してもらえるので「貯蓄」としての役割もあわせ持つというものですが、実はこれが「コスパの悪い生命保険」の代表格です。
一見すると貯蓄にもなって保険としても使えるので一石二鳥と思うのですが、しかし中身は「保険としては保証内容が中途半端、投資としても利回りが悪い、そのくせ保険料は高い」といったいいとこなしの生命保険の種類です。(しかも途中解約すると元本割れしてしまいます^^;)
こういうものにたくさんの保険料をかけて入っても、控除が使えて節税にはなるかもしれないけれども、ただそれに見合ったリターンは少ないというものですからまさに本末転倒だといえます。
だったら割安な掛け捨ての生命保険に入って、浮いた分のお金は利回りのいい優良な投資信託に回すなどすれば、よりコスパよく貯蓄ができますので、圧倒的にこちらの方をおススメします^^
もうひとつの「地震保険料」についても、同じく保険料に見合った保証を受けにくいといった傾向があります。
地震保険は、あの東日本大震災でも、建物や家財については70%が「一部損」(時価の5%が限度額)の判定しかされておらず、しかも現在の評価額で判定されますから、仮に「全損」(時価額が限度)判定されても新築当時の金額で保険金が支払われることはありません。
とはいっても、やはり地震というのはいつどこで起きてもおかしくないものですから、その意味では入っておく価値はあるのかもしれません。しかしコスパの悪さを考えたとき、つまり地震が起こらなかったときは保険料がムダになってしまいますし、万一大地震にあっても保険料に見合った額の保証も受けられるか微妙です。
その点でいえば、地震保険はしっかり貯蓄していれば保険に入らずともいざという時には備えになりますし、保険料も無駄にならないので、コスパでいえばこの方が賢いやり方といえるかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?「積極的に使うべき控除」と「そこまで使わなくてもいい控除」は結局のところ「経費の使い方」の問題ということが言えます。
コスパのいい経費の使い方をすれば、控除も使えて節税にもなって、結果的に手元にお金がたくさん残ります。一方でコスパの悪い経費の使い方をすれば、控除を使えるにしても期待に見合ったリターンが得られないので、結果的に「損をする」ということになってしまいます。
まずは今の自分の経費を洗いざらい見直して、その経費が本当にリターンに見合ったものであるのかを知ることは事業をするうえでとくに大事だと思います。そうすればよりお金もたまっていくようになると思います。